そろそろ梅雨の季節がやってきそうな感じになってきました。
今回はお客様より、ご依頼をいただいた椅子の修理についてです。
椅子の修理依頼は何度か受けたことがあるので、大抵はその場で修理可能か不可か判断できるのですが
今回は椅子を見た瞬間少し 戸惑い、、、
そして話を聞いて更に戸惑いました、、、
まずこのフォルムが中国のアンティーク家具であるということです。
アンティーク家具は現代の家具と違い、作りが華奢な為、修理をしても強度が保てないのと、素材自体が劣化して使い物にならないことが多いのです。
私の知る限りだとアンティーク家具のお店等に行くと、ほとんどは通常使いが難しいものが多く
購入時に修理の依頼をして、お客様の希望の状態で引き渡されることがあります。最初からある程度補修して販売しているところもあります。
強度がしっかりしたものはほぼ存在しないと言っていいと思います。
よってアンティーク家具は使用強度よりも、デザイン性等を楽しむものであり、実用性を考えてはいけない家具だと思っています。
そしてもう一つの話を聞いてびっくり!
これは40年前に台湾から輸入したアンティークチェアということです。
そして購入時に200年前のアンティークものとして売られていという、、、
ということは、、、その話が本当なら約240年前の椅子ということになります。
私はそんな古い椅子は見たことないので、この椅子が修理できるのか想像できませんでした。
そして、そんな椅子を今も大切に使い続けるお客様に驚きと尊敬の念を抱きました。
現代の消費社会において家具も例外ではなく、安く大量生産された家具が数年で廃棄されることが多々あります。
私も会社勤めの時はそれが当たり前だと思い、何の疑問もいだかずに家具を販売していました。
しかし、こんな大切にされ続けている家具を目の当たりにすると、修理して何十年も使い続ける家具もあっていいんじゃないかなと思います。
ライフスタイルが多様な現代社会において、そういった家具の需要はほとんどないかもしれません。
しかし、物を大切に使い続けるという気持ちが重要で、それが家具なくてもいいです。
何か一つでいいので、自分の人生と共に歩む物を持つことで、人は少しだけ優しくなれると思っています。
大切の物ができるというのは、ペットを飼ったり、子供できる等の家族が増える感覚に近いかもしれません。
この椅子には40年間の思い出がつまっており、椅子を見る度に、いろいろ思い出すことができると思います。
お客様もこの椅子にまつわる話をたくさん話していただきました。
さて、無事に修理できるように私は職人さんに祈ります。